埼玉県メタキャンパスは、学校へ通うことが難しい公立小中学生が、自宅などから学習や交流、相談に参加できるオンラインの居場所です。ただし参加市町村の児童生徒が対象で、利用すれば自動的に学校の出席扱いになるわけではありません。
『ひとやすみっけ』のかおかーさんです。気になるのは「オンラインで学べます」の先ですよね。どんな時間を過ごすのか、勉強の遅れは相談できるのか、親は何を準備するのか。県の資料をもとに、利用を考える家庭が知っておきたい点を掘り下げました。
メタキャンパスは学習と人とのつながりを支える場所
メタバースとはインターネット上の仮想空間のこと。子どもは自分の分身となる「アバター」を動かして参加します。県と参加市町村の教育委員会が共同で運営し、2025年度から取り組みが始まりました。
特徴は、教材を一人で進めるだけではないことです。市町村が学習を支える空間と、県が相談や体験学習を行う共通の空間があります。オンライン支援員とのやり取りや利用者同士のチャットなど、人とのつながりも支援に含まれています。
県が想定しているのは、対面での交流が不安だったり、教育支援センターが遠くて通いにくかったりする子どもたちです。2026年度のチラシには病気などで長期欠席している子も挙げられています。本人がオンラインでの学習を希望していることも大切な点です。
一日中授業を受け続ける仕組みではない
県が公開している一日の例では、朝の会、個別学習、オンライン授業、振り返りという流れが紹介されています。時間割をすべて埋めるというより、その日にどう過ごすかを自分で考える場面が設けられています。
| 時間の例 | 過ごし方 |
|---|---|
| 10時から | 入室して掲示板や教室を確認 |
| 10時25分〜10時35分 | 朝の会で一日の予定を考える |
| 10時35分〜12時 | 個別学習や各フロアの授業・イベント |
| 12時〜13時 | 一度退出して昼休み |
| 13時15分〜14時30分 | オンライン授業 |
| 14時30分〜15時 | 自習や交流と振り返りをして退出 |
これは県が示す過ごし方の例です。開設日や時間は市町村によって異なり、すべての子がこの時間いっぱい参加する決まりを示したものではありません。県の説明でも、開設時間内に本人の状況に合わせてアクセスすることが特徴とされています。
朝からの参加が難しいなら、午後の活動から始められるかを相談してみてもよさそうです。短時間の体験や途中退出、見学の方法まで聞いておくと、子どもにも具体的な選択肢として伝えられます。
学習へのきっかけと教科の勉強を組み合わせる
オンライン学習には、英語の基礎、算数・数学の文章題、デッサン、音楽づくりなどの例があります。県の資料では、勉強から離れていた子も取り組みやすいよう、興味を引く内容やクイズを取り入れていると説明されています。
個別学習ではオンライン教材「デキタス」を利用でき、自分のワークを進める過ごし方も紹介されています。一方、在籍校の全授業を同じ進度で受けられるとは案内されていません。教科書の学習をどう補うかは学校との相談が必要です。
例えば数学の学び直しなら、今つまずいている単元から取り組むのか、学校の課題と組み合わせるのかを決めます。「何時間参加するか」より、どこからなら取りかかれそうかを先生と共有する方が具体的な支援につながります。
草加市は参加しているが川口市などは県の一覧に掲載なし
2026年10月23日に県のページで確認できた参加市町村一覧は、2026年5月時点のものです。埼玉南部と周辺では草加市のほか、朝霞市・和光市・新座市・八潮市・三郷市・吉川市などが掲載されています。
| 市 | 2026年5月時点の県一覧 |
|---|---|
| 草加市 | 掲載あり |
| 川口市 | 掲載なし |
| 越谷市 | 掲載なし |
| 戸田市 | 掲載なし |
| 蕨市 | 掲載なし |
| さいたま市 | 掲載なし |
草加市は市の公式ページでも2025年10月からの参加を案内しています。一方、一覧に名前がないことは、その市にオンライン支援や不登校支援が何もないという意味ではありません。県の共同事業への参加と、市独自の支援は別に調べる必要があります。
参加市に住んでいても、私立校への在籍や市外通学などのケースは自己判断せず窓口へ確認してください。近隣市のフロアへ自由に申し込める制度ではありません。参加状況の変更についても在籍校や教育委員会が確認先になります。
申し込み前に端末と参加方法を具体的に確かめる
県のチラシでは、説明動画を見たあとに学校へ「体験したい」「申し込みたい」と伝える流れが示されています。参加申込書を在籍校へ提出し、発行されたIDとパスワードを受け取ってからログインします。
利用するのはタブレットやパソコンです。ただし、学校の端末を使えるか、家庭で何を用意するかは先に相談したいところ。確認した資料だけでは費用の全条件を特定できないため、通信費や機器の貸し出しも含めて尋ねてください。
| 確認したいこと | 具体的な質問 |
|---|---|
| 端末と接続 | 学校の端末を使えるか、接続テストはできるか |
| 費用 | 利用料や教材費の有無、通信費の負担はどうなるか |
| 顔や声の扱い | カメラやマイクを切った参加、チャットでの参加は可能か |
| 参加時間 | 短時間の体験や途中退出はできるか |
| 困ったとき | 操作や交流で困った場合に誰へ連絡するか |
アバターを使うからといって、すべての活動で顔や声を出さなくてよいとは断定できません。授業にはTeamsやZoomも使われます。本人が不安に思う部分を先に聞き、可能な参加方法を確かめてから誘うとよさそうです。
出席扱いはログイン時間だけで決まらない
メタキャンパスへの参加と学校の出席扱いは同じではありません。自宅でのオンライン学習を指導要録上の出席扱いにする場合、国が示す要件を踏まえて在籍校の校長が判断します。全国一律の「何分つなげば一日」という基準ではありません。
国の要件には、家庭と学校の連携、理解度に合った計画的な学習、定期的な対面指導、学校による活動状況の把握などがあります。利用開始前に、どんな活動が対象になるか、誰が学校へ報告するか、面談をどう行うかを相談しましょう。
記録を求められる場合も、保護者だけで毎日の細かな報告を抱え込まない方法を考えたいですね。運営側の記録を使えるか、家庭では何を補えばよいかを決めておくと、支援を続ける負担も見通せます。
参考:文部科学省による自宅でのオンライン学習の出席扱いの説明
成績への反映は出席扱いとは別に相談する
出席扱いになれば自動的に成績が付く、という関係ではありません。2024年8月の制度改正では、不登校の子が学校外や自宅で行った学習の成果を、一定の要件のもとで学校が成績に反映できることが法令上明確になりました。
学校の学習内容に照らして適切か、学校が学習状況を継続的に把握できるか、本人との関わりを保てるかなどが要件です。成績評価については、対面での関わりが難しい場合にオンラインで相談・指導することも認められています。
学校には、取り組んだワークや作品、学習記録のうち何を評価材料にできるか聞いてみましょう。すべての教科で評定が付く保証はありませんが、数字にできない学習状況も文章で記録する考え方が国の通知に示されています。
参考:文部科学省「不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果に係る成績評価について」
保護者だけの相談もできるが情報共有の範囲は確認を
事業に参加している子どもや保護者、在籍校の教職員は、オンラインで専門職へ相談できます。子ども本人が参加しなくても保護者だけでの相談が可能です。県内の全保護者が無条件で利用できる相談枠ではない点は区別してください。
スクールカウンセラーは月・水・木・金曜日、スクールソーシャルワーカーは火・木・金曜日の案内です。子どもの気持ちへの接し方だけでなく、家庭や学校、関係機関との連携で困っていることも申込時に伝え、相談先を調整してもらいましょう。
相談の注意事項では、緊急性が高い場合や必要と判断された場合に関係機関と情報共有することがあるとされています。また通常の活動も学校と共有されます。本人には何を誰に伝えるのかを説明し、相談内容の扱いで不安があれば予約時に尋ねてください。
対象外の地域でも相談を止めなくていい
県の一覧に市の名前がなくても、利用できる支援を探す入口はあります。川口市では教育相談室が不登校や学習の遅れなどの電話相談を受け付けています。外出が難しい子への訪問相談も、学校または教育研究所へ相談できます。
問い合わせでは「県のメタキャンパスを見たのですが、市で利用できるオンライン学習や居場所はありますか」と聞いてみてください。学校との連絡が負担になっている場合も、その事情から伝えて大丈夫です。
利用や相談の問い合わせ先
草加市での利用相談
教育支援室:048-933-7591
草加市の事業案内を見る
川口市の教育相談
教育相談室:048-267-1123
平日9時〜16時30分(12時〜13時を除く/祝日・年末年始を除く)
川口市の教育相談案内を見る
県の事業全般について
埼玉県教育局生徒指導課:048-830-6744
※2026年度チラシに記載の窓口
参加市町村の担当窓口一覧を見る
参加できた日数だけで子どもの変化を測らない
オンラインの居場所が見つかると、毎日参加してほしいと思うこともありますよね。でも、画面越しでも人とのやり取りに疲れる子はいます。利用後の疲れ方や本人の感想を聞きながら、時間や活動を選び直せるとよさそうです。
かおかーさん参加することが新しいプレッシャーにならないように。その子が少し安心できる使い方を探したいですね
好きな企画が見つかった、支援員に質問できた、今日は休みたいと言えた。そうした様子も家族と支援者で共有する材料になります。学校へ行けるかどうかだけでなく、その子が安心して学び、人とつながれる選択肢として考えていきたいです。
※2026年10月23日に確認した埼玉県・草加市・川口市・文部科学省の公開資料に基づきます。参加市町村一覧の基準日は2026年5月です。開設日時や利用条件は在籍校・担当窓口へご確認ください。





