2026年度の埼玉県学力・学習状況調査では、中位層の伸び悩みに改善傾向が見られました。この調査は一人ひとりの学力の変化を追うもの。結果は学校の成績には含まれません。家庭でも、前より分かるようになったことや次の学び方を考える材料になります。
『ひとやすみっけ』のかおかーさんです。学力調査と聞くと平均点が気になりますが、今回注目したいのは子どもがどう学んでいるかという部分。2026年10月27日時点の県の公式資料をもとに、埼玉南部の対象地域や家庭での受け止め方を整理しました。
中位層の伸び悩みに改善傾向
埼玉県教育委員会は2026年10月23日に結果を公表しました。ほとんどの学年・教科で学年が上がるにつれて学力の伸びが見られ、2023年度から続いていた中位層の伸び悩みも改善傾向にあるとしています。
中位層とは学力の分布で中ほどに位置する子どもたちの層です。県の説明資料では小6の国語や算数の例を示して経年変化を説明しています。ただし改善傾向は、課題が解消したことや全員の学力が伸びたことまで意味するものではありません。
| 項目 | 2026年度の調査 |
|---|---|
| 実施期間 | 2026年5月7日~20日 |
| 対象 | さいたま市を除く県内62市町村の公立小中学校等に在籍する小4~中3 |
| 参加人数 | 260,697人 |
| 教科 | 国語と算数・数学、中2・中3は英語も実施 |
| その他の内容 | 学習意欲や学習方法、生活習慣などの質問調査 |
点数と伸びは見ているものが違う
この調査の特徴は、小4から中3まで同じ子どもの変化を追えることです。問題の難しさを考慮して学力のレベルを測り、前年などとの差を伸びとして捉えます。違う年度のテストの点数をそのまま引き算しているわけではありません。
結果を見るときの2つの視点
正答率
今回出された問題に
どのくらい正解したか
学力の伸び
以前の自分と比べて
学力のレベルがどう変わったか
埼玉県の説明資料をもとにひとやすみっけが作成した概念図です
平均より低いという結果と、その子が以前より伸びていることは両立します。逆に高い正答率でも、次にどんな課題に取り組むかを考える余地があります。平均点だけに目を向けると見えにくい成長も、結果票から探してみたいですね。
県の保護者向けリーフレットでは学校の成績には一切含まれないと明記されています。伸びが分かるのは調査の2年目以降。初めて受ける小4では、まずその時点の学びの状況を知ることになります。
埼玉南部でも調査の対象は異なる
川口市・越谷市・草加市・戸田市・蕨市は県調査の対象地域です。一方でさいたま市は今回の県調査に含まれていません。埼玉県全体のニュースとして読んでいると見落としやすいので、ここは最初に押さえておきたいところです。
県は市町村別の平均正答率と学力が伸びた児童生徒の割合(PDF)も公表しています。地域の傾向を知る資料ですが、市の平均値から自分の子の状況までは判断できません。個人結果票と市町村の集計は役割を分けて読むと分かりやすくなります。
さいたま市には別途2026年度の全国学力・学習状況調査の結果があります。こちらは小6と中3が対象。県調査とは問題も対象学年も異なるため、正答率を横に並べて市同士を比べることはできません。
学力の伸びと関係していた学び方
今回の分析では、小4から中3までの学力の変化と学び方などの関係も調べています。「学習方略」は勉強の進め方や工夫のこと。「非認知能力」は知識や計算技能などとは別の力を指し、この分析では自己効力感などに注目しています。
| 資料に出てくる言葉 | どんな学び方や気持ちか | 県が示した関連 |
|---|---|---|
| 努力調整方略 | 難しいと感じても取り組みを続けようとする | 下位層の中で特に強い関連 |
| 自己効力感 | 自分にもできると考える | 中・上位層で強い関連 |
| 認知的方略 | 習ったことを整理し、知っていることと結び付ける | すべての学力層で強い関連 |
| 主体的・対話的で深い学び | 自分で考え、他の人の考えも手がかりに理解を深める | すべての学力層で強い関連 |
わたしが気になったのは、学んだことを自分なりに整理する工夫が幅広い層と関係していた点です。覚えた量だけでなく、どう理解して使っているかも見ているんですね。詳しい分析は県の説明資料に掲載されています。
粘り強さを根性論にしない
ここで大切なのは、見つかったのが学力の伸びとの関連だということです。特定の勉強法を割り当てて効果を比べた実験ではありません。自信が学習を支える可能性も理解が進んで自信がつく可能性もあり、この結果だけで因果関係は決められません。
「粘り強い子が伸びた」と聞いて、分からない問題を一人で続けさせる必要はありません。県が指導例として挙げているのは、段階的な手がかりを示すことや小さな進歩を具体的に認めること。大人がどう支えるかも含まれています。
伸びが小さいという結果から、本人の努力や親の関わりが足りないとは言えません。読む負担や説明の分かりにくさなど、どこで困っているかを一緒に探す材料にしたいところ。学力層の名前も子どもに貼る固定的なラベルにはしたくないですね。
かおかーさん「もっと頑張って」の前に、取り組みやすくする手がかりを一つ増やせたらいいな
家庭で試すなら一つの工夫から
県が示した指導の考え方を家庭で取り入れるなら、いつもの宿題に小さな工夫を足すくらいからでもよさそうです。次は家庭向けに考えた例で、今回の調査でそのまま効果が検証された方法という意味ではありません。
- 答えまで進めないとき
問題文のどこまでは分かるかを一緒に探し、必要な数や言葉に印を付けるところから始める - 解けても理解が曖昧そうなとき
一問だけ選び、どう考えたかを本人の言葉や図で表してもらう - できない気持ちが強いとき
正解数だけでなく、式を書けたことや自分で間違いに気付けたことを具体的に伝える
毎回説明を求めると負担になる子もいます。本人が話したくない日は無理に聞き出さず、図を指したり途中のメモを見せたりする形でも。家での時間までテストの続きにならないように、子どもが取り組みやすい形を選びたいですね。
結果票と復習シートをつなげてみる
結果を見て何から始めればよいか迷う場合は、県が公開する復習シートが使えます。実際の調査問題や類似問題をもとに作られていて、教科や学習分野ごとに選べます。問題と解答が用意されているので家庭でも利用できます。
選ぶときは個人結果票の学力レベルや分野別の正答率が手がかりになります。例えば算数なら図形や数と計算など、取り組む範囲を絞れます。苦手な分野の復習だけでなく、得意な分野で少し難しい問題に挑戦する使い方も紹介されています。
なお、シートの学年表示は一つ前の学年までの学習内容に対応します。小6向けなら小5までの内容です。全部を印刷して宿題を増やすより、まず一つの分野を選ぶくらいが始めやすそう。難しさの判断に迷ったら先生と相談できます。
家庭で使える県の学習資料
学校と一緒に次の学び方を考える
今回の調査は学校の授業や支援を改善するためのものでもあります。県は学校同士をオンラインで結ぶ研修を行い、380校から約4,700人が参加したと発表しました。家庭だけで結果を引き受ける必要はなく、学校側にも活用が求められています。
面談では「平均より上ですか」だけでなく「以前より伸びた分野はどこですか」「授業ではどんな助けがあると理解しやすそうですか」と聞く方法もあります。家庭で困る場面も一つ添えると、その子に合う関わり方を具体的に話しやすくなります。
結果票を前にすると、足りないところが先に目に入ることもありますよね。それでも子どもが積み重ねてきたことを一つ見つけて、一緒に喜べたらうれしい。調査結果が次の一歩を考えるきっかけになり、子どもの「やってみよう」につながるといいですね。
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